ストラディバリウス サミット・コンサート

ストラディバリウス サミット・コンサート

観照と鑑賞について、ちびちび小出しにつもりはありませんのでひとつの解答として、
サントリーホールで行われたストラディバリウス サミット・コンサートを例に取り、
正しい演奏、鑑賞、録音とはこうあるべきだということをネタバレ的に説明します。

ただし細かい理由は後々の事例で説明することにして、ここでは割愛させていただきます。

それでは始めます。

最初はストラディバリウスと関係なく一般論です。

なぜ、第一バイオリンは下手(観客席から見て左)側なのか?

答えは簡単、観客に届く音が良いからです。

バイオリン本体の向きの問題です。

弦楽器はたいてい弦に対して直角方向で聴くのが良い位置だといってもとりあえず問題ないでしょう。

奏者は指揮者あるいは演奏者同士でのアイコンタクトなどでタイミングを図るため、
ステージ中央に向いてしまうので尚更この傾向が強まります。

そういうわけで上手の奏者の発する演奏を観客席から聴いた場合、
下手で演奏した場合に比べ、本来の音色とはだいぶ異なります。
ミュートしたような音に近いと言えるでしょう。

幸い音質が違うと言っても、
同じバイオリンでも、皆音質が違うという高級バイオリンの特性でそのことが問題になることはありません。

逆に第一バイオリン、あるいはソリストの音質が目立ち好都合に働きます。

ストラディバリウスは、ヒキ心地はいざしらず、音が良いということで一般人に認識されています。

音が良いとは音色が良いことはもちろんですが、当時の要件として、
音が遠くまで届くということが良い楽器の条件でもありました。

音が飛ぶとか言ったりします。

さて、ストラディバリウス・コンサートです。

合奏でも美しい音色で、またそれぞれが埋もれることがないのはさすがです。
これは音の飛びの良さのお陰です。指向性が高いというか。

またアイコンタクトも少なめなので上手の奏者も正面を向く割合が多いのもプラスに働いています。

さらにそれぞれの美しい音色が混ざっても美しいうえに、それぞれの楽器に特徴があることで、聞きたい楽器に注目することでその音色だけを取り出せるという観客を満足させることにも一役買っています。

そして録音はというと、合奏の時にはステージ上空からの集音のみで、クラシック録音で好まれる二本のマイクを限り無く近づける、プレッシャーゾーン的な録り方ではなく、1m前後距離を空けて設定していました。これでマイク間の位相差により、強すぎる直接音が緩和され優しい音色というか、観客席で聴いている音色に近い豊かな音色で、さらに各楽器のもつ理想的な音色に近い位置で収録できています。

対してピアノとバイオリンのアンサンブルの時は、ピアノ奏者の下手にバイオリン奏者が立ち、2mぐらいの高さに調整した集音マイクを二人の中間位置にセッティングしていました。

そして、チェロとピアノの場合は上空からの一箇所のみからでした。

ここで言いたいのはピアノの前にはマイクをセッティングするという致命的なミスを犯していなということです。※

ちょっと残念なのが八重奏。
円陣になってしまっていました。

この演奏のベストポイントはマイクの位置でしょう。

そして一階席よりも二階席の左前方あたりがライブでのベストポイントになるでしょう。
一度此処でバランスのいい音を聴いてしまうと一階席がとても残念な席に思えてきます。 

 

これらの例はすごく端的にクラシック音楽界の事情を表しています。

良い音を追求する人たちがセッティングすれば、このように、当たり前にベストセッティングが行われます。

これを素直に参考にすればよいのですが、そうならないクラシック界。

同じサントリーホールでも毎回好き勝手に残念なセッティング(録音)が行われています。

この困難にいかに立ち向かうかをこれから徐々に紹介していきます。

 

もう一つ残念な例を。

『百年の音楽』というテレビ番組でストラディバリウスの演奏が聴けるのですが、これがひどいのです。

これ以上はないというくらい残念な音を苦痛とともに味わえます。

芸大教授がこれでは先が思いやられます。

 

※筆者は過去ピアノの録音を仕事にしてましたのでそれほど暴言ではありません。
ピアノは他の弦楽器に比べ音量があるうえに、録音が難しく、近距離のセッティングはたとえ録音技師の好みだったとそれは位相的に致命傷をかかえた音色となります。

 

 

 

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