3大ピアノ プロジェクト PIANO三重弾!PartVIII
公演タイトル | 3大ピアノ プロジェクト PIANO三重弾!PartVIII |
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公演日時 | 2016年6月18日(土)15:00開演(14:30開場) |
会場 | 杉並公会堂大ホール |
出演 |
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演目 |
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「3大ピアノの聴き比べができるの?」と、半信半疑で聴きに行ってきました。まず、コンサートが始まる前、斎藤さんが前説で、ピアノの説明をしてくれて、ショパンのワルツ第9番を3分の1ずつ3台で弾いてくれたのですが、この時に、何となく違いが感じられました。その後のプログラムでも、音の高低や強弱で、好きな音になったり、嫌いな音になったりするのが、ピアノごとに何となく感じられました。スタインウェイは総合的に平均点が高く、決定的な欠点がない感じ。ベヒシュタインは、pで弾くと美しく、特に高音が綺麗でしたが、fではキンキンした音になり、あまり好きな音ではありませんでした。チェンバロ寄りの音っぽくも聞こえました。ベーゼンドルファーは、静かに弾くといい感じ(逆にガンガン弾くとうるさい)ように感じました。すべて「何となく」でしかないのですが、スタインウェイがコンサートホールに多く選ばれる理由がわかるように思いました。
ピアニストでは、松本和将さんが良かったです。表現力もあり、リズムを作り出すのもうまかったです。
☆旦那枠
今回はピアノのコンサートにあまり興味のない妻に無理をお願いしての鑑賞なのできちんと書きます。目的も音楽鑑賞を楽しむというより三大ピアノの違いを確認するのが大きな狙いです。
まずは3台の写真から
ステージ奥からスタインウェイ、ベヒシュタイン、ベーゼンドルファーの順で並べられていました。
スタインウェイのみ大屋根が半開で開いていました。それは、よくある2台の連弾でも奥のピアノだけ大屋根があり、前のピアノは大屋根を取り外しているのと同じ理由ではなく、音量の調整のためでしょう。音色が変わるのでどちらにして好ましくはないと思いましたが…。
今回の座席はピアノがよく見える位置に陣取りました。
2階席のこの位置からだとマイクのPAがまるで範囲外なので聞き取りにくいのですがピアノは上からよく見えます。残念ながらスタインウェイは大屋根で直接音が届きにくくなってしまいますが、聴きなれているのでまあよしでしょう。
各種比較
なかなかピアノが三台並べられて演奏されることがないので、いろいろと普段と違う事も楽しめました。
今更ですが上から見ると箱の形が違います。そして側板の厚さはスタインウェイ、ベヒシュタイン、ベーゼンドルファーの順で厚く、重量は逆にベーゼンドルファー(570Kg)、ベヒシュタイン(555Kg)、スタインウェイ(480Kg)の順で重くなっています。
譜めくりも3名いるのでそれぞれ特徴がありました。そしてこの三名よりもピアニストのほうが雑な譜めくりでうるさくもあり、たかが譜めくり、されど譜めくりと思いました。ページをめくった後の空気を抜くところまで、気を抜いてはいけないようです。
途中休憩の時の調律は、ベヒシュタインは確認のみ、ベーゼンドルファーとスタインウェイは微調整が入り時間はスタインウェイが一番長かったです。そして調律師の上下関係なのか師弟関係なのかが少し見れました。
肝心の演奏とか音質とかですが、今回の記念CDを(5月25日発売)に購入して聴いたときにも思ったのですが、連弾の時の息はぴったりとは言えません。そのことがわかるのが松本氏、近藤氏のお二人の存在です。このお二人が入ると曲がかっちりするのですが、それは演奏技術ではなくボディランゲージの有無だと思います。最初にタイミングとってあとは譜面とにらめっこではタイミングはそろわないと思います。皮肉なことに音楽は耳でタイミングをとるのではなく目でとったほうが良いからです。
ピアノの音色自体は妻の言うとおりだと思いました。
それよりもこのコンサートの趣旨である『三重弾』!これになじめませんでした。
三台のピアノをガンガン鳴らしてさぞや楽しいことでしょうが、これ聴くほうも満足しているのでしょうか?という疑問です。
残念ながら、ベーゼンドルファーもベヒシュタインも、そしてスタインウェイまでもが、彼らの一番の特徴!というか売りである「いい音」がした瞬間があったと、演奏したピアニストさんたちは自信をもって言えるのでしょうか?(ソロ以外で)
ちなみに、厄介なのが、たぶんマイクを通した録音ではこのぐらいがちょうど良い迫力になるような気がしてします。
私には、確かにスタインウェイが独り勝ちする理由も、他の2台の「だからダメなんだよ」といわれる残念ポイントがたくさん見つかりました。
そして、ピアノは二人の連弾でもうるさいイメージがありますが3台だとさらにうるさく、弦楽器のような協調性ではなく、身勝手なケンカのようでさすが打楽器、そしてピアノの弱点でもある位相の共鳴もさらに強調されるように思えました。
そう思えましたが、今回のような打楽器的な楽曲ではではなくもっと相性のよい楽曲や奏者の組み合わせがあるのではと思いました。
今回の組み合わせの印象は一言でいうと「ベヒシュタイン割れ(KAWAI割れ)」。
弱いところが共振して強調され、ちょっとかわいそうでした。
一番の収穫は録音アルバムやコンサートでの普通の曲では気が付かなかったベーゼンドルファーの特徴(良いほう)に気が付いたことです。すごく可能性を感じたのですが、それはコンサートピアノには求められてないじゃん、というオチですね。
そしてファジオリ(FAZIOLI)の主張がもっともなことも理解できました。
とにかく、期待以上に面白く、収穫があるコンサートでした。
せっかくなので杉並公会堂の保有ピアノのYAMAHAのS6Bに前座(前説?)をやらせてあげると違いが判ってさらに面白かったのではないでしょうか?
しかし、私たちは、うるさいだけのコンサートには行きません。
杉並公会堂のチラシなどです。
3大ピアノ プロジェクト PIANO三重弾!PartVIII
杉並公会堂開館10周年記念CD発売記念公演。 スタインウェイ、ベーゼンドルファー、ベヒシュタイン――
世界3大ピアノが一堂に会するシリーズ第八弾!
多彩な活躍で知られる斎藤雅広を中心に日本を代表する6名のピアニストが壮麗無比な三重弾、
空前絶後の六重弾も披露する超豪華版!
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日時:2016年6月18日(土)15:00開演(14:30開場)
会場:杉並公会堂大ホール
出演:斎藤雅広、近藤嘉宏、松本和将、宮谷理香、須藤千晴、富永愛子(以上ピアノ)
曲目:
・J.S.バッハ/祝祭3台6重弾(カンタータ147番より)
・チャイコフスキー/「くるみ割り人形」より《花のワルツ》
・ボロディン/「イーゴリ公」より《ダッタン人の踊り》
・F.ロウ/マイ・フェア・レディー*
・A.C.ジョビン/ボサノヴァ・メドレー(ソ・ダンソ・サンバ、ワン・ノート・サンバ、思いあふれて)*
・ラフマニノフ/「組曲第2番」より《タランテラ》
・サン=サーンス/死の舞踏
・ワーグナー&ヴェルディの主題による祝典序曲*
・プーランク/「ナポリ」より《イタリア奇想曲》*
・ビゼー/「アルルの女」より《ファランドール》*
・ホルスト/「惑星」より《木星》✝
・スーパー・モーツァルト✝
(以上予定 ほか)
(*斎藤雅広編曲、✝直江香世子編曲)
入場料:S4,500- A3,500- B2,500-(杉並公会堂友の会:S¥4,100- A¥3,200- B¥2,300-)
*未就学児の入場はご遠慮ください。内容等変更になる場合がございますのでご了承ください。)お問合せ:杉並公会堂TEL:03-5347-4450(10時~19時 *休館日を除く毎日営業)
主催:杉並公会堂((株)京王設備サービス
後援:杉並区
斎藤雅広(ピアノ) | WEBぶらあぼ
5/25日発売です。
新品価格 |
CDを購入したので、ライナーに記載の使用楽器をお知らせします。
BO:ベーゼンドルファー ST:スタインウェイ BE:べヒシュタイン
- ホルスト:惑星より「ジュピター」(直江香世子・編曲)
(BO:斉藤雅弘(3rd) ST:松本和将(2nd) BE:須藤千春(1st)) - ドリーブ=ドホナーニ:コッペリアのワルツ
( BE:斉藤雅弘) - ムソルグスキー:展覧会の絵より「ババヤーガの小屋」「キエフの大門」
(斎藤雅広・編曲)(BO:関本昌平関本昌平 ST:斉藤雅弘 BE:松本和将) - リスト=ホロヴィッツ:ハンガリー狂詩曲第15番「ラコッツィ行進曲」
(ST:斉藤雅弘) - ベルリオーズ:幻想交響曲より「断頭台への行進」(轟千尋・編曲)
(BO:富永愛子 ST:斉藤雅弘 BE:高橋多佳子) - シャブリエ:狂詩曲「スペイン」(橋田波子・編曲)
(BO:須藤千春 ST:岡本昌平 BE:斉藤雅弘) - ビゼー:アルルの女より「ファランドール」(斎藤雅広・編曲)
(BO:斉藤雅弘 ST:三船優子 BE:富永愛子) - アントニオ・カルロス・ジョビン:ボサノバメドレー(斎藤雅広・編曲)
(BO:三船優子 ST:熊本マリ BE:斉藤雅弘) - リスト:愛の夢 第3番
(BO:斉藤雅弘) - サン=サーンス:死の舞踏(サン=サーンス・編曲)
(BO:斉藤雅弘 BE:近藤嘉宏) - レスピーギ:ローマの松より「アッピア街道の松」(轟千尋・編曲)
(BO:斉藤雅弘 ST:高橋多佳子 BE:熊本マリ) - J・ウィリアムス:スターウォーズのテーマ(石川芳・編曲)
(BO:松本和将 ST:斉藤雅弘 BE:三船優子)