ピアノの録音 その4

ピアノに限らずですが、自分でこれがよいと思う音を持っていないと、ブレルし、自信が持てないですよね。
そこで、ピアノのベスト録音とか言われているアルバムを聴いたり、良い音響だといわれているコンサートホールに足を運んだりするわけですが…。

必ずしも、それがベストだとの自信も持てず。

そこでヒントを

ピアノの録音その4

モノラルが一番

いろいろな録音方法があったり、いろいろな批判要素があるのの一番の根源は、ステレオ、あるいは複数マイクによる集音、複数トラックへの録音だったりします。
要は突っ込みどころが満載なわけです。
なので、マイク1本で収録できる一番良い音、良いポジションを確立しておくことはとても良いことだと思います。
これに、マイク一本ではだめな理由というかデメリット分を加えて行く方が、やりすぎを抑えることができそうです。

音源を選ぶ

ピアノはあのでかい面積と以下表面から音がダダ漏れています。
どこをとるかで大違いなので、それぞれの特徴を把握しておくことは良いことです。

例えばピアノの裏面というか底面ですが、ここは音量的にたくさんの音が放出されています。

例えば現在河合楽器の参加のOHHASHIことDIAPASON(ディアパソン)のピアノはオプションでマスク仕様というものが用意されています。これは底面に窓のブラインドみたいなものを設置し、これを開閉することで最大40%の防音になるとうたっています。単位が不明ですが、これをそのまま信じると、ピアノの音の放出具合を、たとえば次のように見積もってみることができます。
上面からの放出が50%で底面からの放出が45%、そして側面が5%、あわせて100%だとしてみます。
その割合を計測したがどこかも不明ですがとりあえずピアノから数メートル離れた想定ベストポジションに座った視聴者はピアノの発した音を上:50、横:5、底:45、の割合で届いた音を聴いているわけです
上面と、横と底の合計、との割合は1:1といえます。
そして件の底面を閉じると上:50、横:5、底:5となり割合的には1:1になります。
そして大屋根を閉じた場合に上:5、横:5、底:45になったとすると、割合的には1:10になります。
さらに上も下も閉じたとすると上横底がすべて同じ割合で横の音が通常時の19:1から2:1に代わります。

上記は極端すぎるとしても、このような特性がある中、上からの2本だけでピアノの音が録れる!とは思わない方がよさそうだといえると思います。

同じようなピアノでも

ピアノの絃の張りかたには大きく2種類あったりします。
ピアノには鍵盤の数よりも多くの絃が張られています。鍵盤一つの一音に対して複数の絃が張られているわけですがその複数弦をその数だけの本数を使う場合と一本のピアノ線を折り返して使うリターン張りというのがあります。テンションが同じにならないような工夫がされているにしても、一本張りとは見た目も出てくる音も違います。加えてその終端にフェルトを入れる、入れないでそれぞれ音質が変わってきます。
これらは弦の中心あたりから出ている音と、弦の終端から出ている音の割合が大きく変わっているということです。
単純に観客席で聴く音以上に問題になるのが録音マイクの位置での音です。
例えば中心あたりの各弦の距離の割合に対し、終端までの距離はその値に最高2倍したものになるかもしれないということです。マイクから遠くにある弦は終端音の集音割合が減るということです。これはマイクを近接させればさせるほど顕著です。

ピアノの音階の定位

例えばJAZZやポピュラーのソロピアノの録音の場合、ピアノの演奏時と同じような配列、低音から高音に移るにつれ左から右へと定位させようという録音があります。

これは、生ピアノではなく、電子ピアノや、サンプリングした音源では特に問題にはならないでしょう。
ところが生ピアノでこれをやろうとした場合、ピアノの内側の鍵盤のすぐ先に2本、あるいは複数本立てたりしていると思います。
よく見るピアノの外に2本立てての集音では狙った定位は得られず、定位など特定できない、あるいは逆方法に定位してしまったりします。
でこの、生ピアノで定位させようとした録音の場合、その定位と裏腹に、音色がジュワジュワしたりしています。これは位相のずれにより感じられる音色です。

ピアノという楽器自体がそもそも位相的に解決というか折り合いなどついていないなか、何とか心地よいところでバランスをとっている楽器だといえると思います。
そんな中超近距離で集音などしてしまったらその位相関係は、誰かが決めた合格ポイントから大きく外れてしまうのは目に見えています。
単音の場合は、たとえば低音弦は逆に無駄な位相の問題を省くことができて生々しいラウンド弦(フラット弦ではない方)を聴かせることができて、悦にいたりしますが、音数が増えるにつれ、あるいは特定の音に対して、不快な位相ずれが発生してしまったりします。
とりあえずこの時点でリサイタルなどで観客席で聴く音とはかけ離れ、そもそも持っているピアノの音的な実力以下の音を作りこんでいるように思います。

なので、定位させたい場合は、先の終端にフェルト入りの楽器をチョイスしてその影響を減らしたり、逆に倍音が出まくっている楽器で、全体のバランスを整えてしまおう、など様々な手法がとられてきたりします。

バンド演奏やピアノ協奏曲で通常はちゅおうとか左隅に定位させといて、ソロパートだけステレオ定位とかいうのよく耳にしますが、聴いていて気持ちいいかはともかく、突っ込みどころは満載な録音になってしまいます。

どこで聴く

少なくとも悪い音という意味での安物のピアノや同じく音響的に望み薄なスタジオやアーティストの演奏を聴いてもしょうがないでしょう。
例えば割りとよく聞くアリス・沙良・オットーなどもホールや席位置などで全然その音色は一定ではありません。
しょうがないので、自分の環境下でできる最善を尽くすことになる訳です。
その中で、これがピアノ的に良い音、そして奏者的に良い音を聞き分けてストックしていくことになると思います。
お勧めの位置とは以前も書いてますが、みなとみらいとかオペラシティの最上階から見下ろす席。
これをピアノの素の音とかに分類しておくとよいと思います。
それと、カテドラルとかの教会とか、反響しまくりのホールというか会場。
これらはある意味ピアノの製作者、整音者たちが作り上げて許容されている音色だと思えばよいと思います。
そうやって聞くと体育館だって心地よい音が出ている場合があります。
はたして駅ピアノでよい響きのポイントというのはあり得るのか探してみるとか

反対に定位バリバリの録音はその弱点を見つけ出すとよいと思います。

あと、自分的に良いというか、心地よいと思っている録音はアナライザーで確認しておくとよいと思います。
その低音・高音の割合とか倍音の含まれ具合とか、変なピークとか。
例えば、自分には、サントリーホールとか、ヤマハとかは、木琴とか拍子木をたたいているような音が聞こえてきてしまいます。
ひとたび気になってしまうと、ひたすら同じ音の連打を聴かされてしまうわけです。
12月のサントリーホールの上原ひろみのコンサート(リサイタル)は、悪い条件を共に満たしているのですが。
S席を購入したのですがまだ席が確定していません。
まあ1階席はそもそもJAZZ向きではないので期待はしていない…

どこで録る?

で結局のところなんですが。

録る側としてはピンボケの後で修正しにくい録音は避けたいということでどうしても気が付くと近接寄りになってしまうと思います。
遠くからとってもピントがぼけない録音というのは、ひとえに、そここそがベストポイントな場合です。

バイオリンのストラディバリがよい楽器といわれている要素の一つにより遠くに音が届くということが上げられます。これの要因として余計な音を発せず、なおかつ位相的に整合がとれている、ということが上げられると思います。
単純に位相的整合が録れているとよい音、とかではなく聴く側が集中しやすいということも挙げられます。
観客が自ら行う指向性の操作です。このことから遠方でマイク1本録りというのは成り立たず、ちょうどよい感覚の2本取りが基本となります。この場合PZだののX-YだのではいけませんABとかでそれなりの距離が開いている方が効果的です。バイノーラル的な発想となりますが必ずしもバイノーラルで良しとされている手法に沿う必要もないと思います。録音する環境次第だからです。
自分の聴いた音の再現としては良いかもしれませんが、それがベストだとは思わない方がよいからです。
例えば1メートルの間隔で録音して、再生する時にスピーカーの間隔を1メートルから広げたり狭めたりして、違いを聞き分けるとか、整理しておきます。確認することはステレオ感よりも集中できる度合い感でチェックするとよいと思います。要は聴きたいときに聞こえるか、です。

そして、一本マイクで一番良い音がするところから録音し、2本で録った音を後からかぶせて完成です。
今だとデジタルなので実際には1本の録音に2本取りの音を、音量の大小と、再生のタイミングをずらして重ねていくことになると思います。
イメージとしては2本取りの録音に、ディレイをかけた1本取りの音を足す感じですかね。

 

 

※DIAPASONの紹介 浜松ピアノ店

酒井茜&マルタ・アルゲリッチ ピアノ・デュオ・リサイタル のレビュー(2019/10/1)

レビュー:上原ひろみ JAPAN TOUR 2019 “SPECTRUM” 2019/12/14

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