内田光子ピアノ・リサイタル
シューベルト・ソナタプログラム
第二夜
11月7日の第二夜観てきました。
2部からアンコール終了まで美智子皇后様が鑑賞されました。退位前にまじかで拝見出来たのは幸いなことです。
鑑賞された席は特等席のRB1ブロックの2列9番でした。
代表撮影はRA1ブロックの狭い通路1列に入りきる10名ほどで、ニュースで使われている写真はその先頭にいたカメラマンが撮影されたもので、カメラはCANON、ストラップは・・・
思うに、内田光子の演奏は、BGMとしてや、何か別のことに注意が向いてしまっているときなど演奏に集中できない時には、演奏にはったりがない分、かえって普通の演奏に聞こえてしまうような気がします。
なので第一部はところどころ意識が飛んでしまいました。
理由は、そもそも曲が好きではないことに加え、例のピアノ。
第一夜で目立った打鍵のフェルトと木槌の音は(調整し忘れたのであろう数本の鍵盤を除き)綺麗に抑えられていました。
その代わりというか、調整のやりすぎというか、今度は減衰時間が長すぎるようになり、ダンパーもあまり効いてないように思えました。
観客がうるさいときとか、余韻が長すぎるような演奏は、聴くほうの集中力をそがれます。
※集中して聴けるD.960の2楽章とかアンコールにはぴったりだったように思います。
そして弦の音程の揺らぎは前回よりも目立ちました。
弦が新しいからですかね?
調律師さんが頑張りすぎて鳴り物入り過ぎる感じがして彼女にはあまり合ってないように思いました※。彼女は押し付けるのではなく惹きつける演奏が売りだと思ってます。惹きつける演奏って静寂、休符が肝だったりするので残念です。
アルバムの音に近いといえば近いのですが、アルバムではその分デッドな感じに仕上げていると思います。
※一般的にはいつもより美しい調べといえるのかもしれませんね。
ただ第一夜の調律師による整音のほうが演奏に集中しやすく、第二夜の整音は聴く側には集中しにくいといえると思います。
曲が好きになれないのは…
フェルトと言えばやはり水銀!
シューベルトは当時の薬害被害者の中で一番幸せだった人であったにしても、そこから生み出された長編の曲の多くは水銀中毒特有の発想力と抑揚と苦悩と狂気(と平常時の曲)であり、本人の自己表現はともかく、それに感情移入して演奏、そして鑑賞するというのはなんだか健全ではないように思えます(これってタブー?)。
曲中にたくさんの宝石(原石)のようなフレーズが埋め込まれているにしても、一曲とおして聴くと理解不能です。
そんな中、彼女の特長である節拍感を抑えた演奏は、作曲者本人になり替わるのではなく、客観的なシューベルトの代弁者のような立ち位置で、聴く側も変なプレッシャーを感じなくて済むような気がするのですが、響きすぎるピアノは、垂れ流し感があり、曲調に合っているとも思えず、眠気を誘い…。
あるいは出来栄え点が…赤がお嫌いと公言する光子様ですが、サントリーホールの座席は赤、それでも満席で埋めればOKだった処ですが、観客の中には真っ赤なコスチュームが2た桁、気をそがれてなければよいのですが。
ちなみに赤い布(ムレータ)を見ても牛は興奮などしなく、興奮するのは牛ではなく闘牛士と観客だそうです。
それでも2部とアンコールは圧巻でした。
やっと念願がかないもう思い残すことはありません(ピアニスト部門では)。
存在を知ってからの30年近く常に筆頭ピアニストであり続けた彼女の演奏は…、当方表現力がなくいいあらわせないので他の方にお任せします。
あと毎回思うのですが終演後に観客に感謝の辞?を述べている、その一言一句を掲載してほしいですね。これって最後尾のお客さんにも向けられていると思うのですが。当然届いていません。
サントリーホールの場合、アンコール曲をサイトに速攻で掲載していますが、合わせて「本人の発せられたお言葉のすべて」も掲載してほしいです。
あわせて、シューベルトのピアノソナタが効果的に使われているカッパドキアを舞台にしたパルム・ドール大賞受賞の映画『雪の轍』もお勧めです。
第一夜
10月29日のリサイタル第一夜を観てきました。
内田光子とその演奏の素晴らしさは、ふさわしい方々がいくらでも書いてくれると思うので、別視線で。
まず、サントリーホールのピアノリサイタルにおける特等席はズバリRA1の3列4番!
なんでここが特等席かはこちらでー> サントリーホール・ピアノリサイタルの特等席はここだ!
内田光子と言えば、2017年にオープンした、エルプフィルハーモニー・ハンブルク (独: Elbphilharmonie Hamburg、愛称: Elphi)に3台納入されるべく選定された12台のスタインウェイ全てにダメ出しをしたことで有名で…今夜のピアノの評価も気になるところ。
私が山下 洋輔だったら火をつけてたところです。ジミ・ヘンだったら叩き壊していたところです。
まずお経のような木魚、あるいは安アパートの隣室で住人が壁にくぎ打ちしているような音!
まあ打鍵のフェルトの音は致し方ないのですが場面によってはピアノ本来の音よりもエネルギーが大きかったりしてました。
因みにこれは聞こえない人には聞こえません。
そして、2部になってから徐々に変な音になってきてました・・
一部の演奏では聴くことのなかった高音域の共振というかビヨーンていうやつが増えてきていました。
極め付きに、最後の最後のフェルマータで音程がビヨ~ンじゃあないですか?
ペダルのせいか、鍵盤を抑え続ける圧力なのか、ギターのチョーキングになってまして、まさしく記号のような感じ。
11月7日にはこれがどうなっているのかが楽しみです。
とはいえ、他所で聴くスタインウェイよりはきらびやかで豪華な音色だったとも言えますが、内田光子の場合アルバムの録音が良すぎるので比べるとやはり劣りました。(というかサントリーホールでピアノの音色に感心したことはないです。)
内田光子はショパンの葬送を物心がついた30年ぐらい前に聴いたときから私にとっての100点満点プレーヤーでした。
好きな演奏は2,3曲しかないのですが、それが完璧なのであれば、それ以外の曲もきっと誰かにとっての完璧なのだろうなあという評価です。
そんなわけで、シューベルトも今回の楽曲もまるで思い入れはなく、ああ鱒を書いた人らしいフレーズだなあ、という印象です・・・
あと有名なアーティストほどコンサートの質が下がってしまいがちなのが残念です。
盛況な分に加え年齢層が高すぎると観客の体調が思わしくなくなってきます。
うるさいったらありゃしない。
演奏を始めるタイミングで発せられた咳でいったんやめて改めて仕切りなおすす一面もありました。もしも7番の演奏に不満な点があるとお思いでしたらそれは観客のせいです。
あと、トイレ臭。
ホール側も客層を考慮して、男子トイレの飛び散りを小まめに拭かないと・・・
といいつつ、とても素晴らしいリサイタルでした。
二日目は、また
内田光子ピアノ・リサイタル シューベルト・ソナタ プログラム (サントリーグループ企業情報)
©Decca-Justin Pumfrey 2015年の公演より
公演タイトル | 内田光子ピアノ・リサイタル
シューベルト・ソナタ プログラム |
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公演日時 | 2018/10/29(月) 18:30開場 19:00開演
2018/11/07(水) 18:30開場 19:00開演 |
会場 | サントリーホール 大ホール |
出演 | 内田光子 |
演目 | シューベルト・ソナタプログラム
2018年10月29日(月) 【プログラムA】 アンコール:モーツァルト ピアノ・ソナタ 第10番 K.330より第2楽章 2018年11月7日(水) 【プログラムB】 アンコール:J.S.バッハ:『フランス組曲』第5番 ト長調 BWV816よりサラバンド |