演奏者はさておき、ホールと着席位置にこだわり、自分好みの、自分の聴きたい響きで演目を楽しんでみましょう。
ピアノのベスト鑑賞ポイント
一例を紹介します。
今回の私のお目当ては舟歌系バラード系とします。
この演目での着席位置を含めたベスト鑑賞ポイントは、次のような条件が成り立つ場所です。
- ホールは客席がフラットでキャパが200人程度の小ホール
- ステージの奥行き広め、高さは高めで、間口狭め
- 袖幕たっぷり
- ステージの床と後壁の反響版は固め
- 舞台高は低め、奏者見えず、客席は絨毯張り。
- 席は正面席で前から10~20列の間
- 前方の席は満席
- 大屋根は45度くらいに開く(図参照)
理由はというと、
響板からの音にのみスポットを当て他の音は極力省く。
レンジは狭く、残響は自然に!
です。
このポイントを、基本の音として受け入れておくと、他の場面でいろいろ応用がきくようになります。
例えば、
前の観客がいなくなれば低音域が豊かになります。
ピアノが見えるようになるにつれ、いろいろな雑音が聞こえてきます。
響板が見えるにつれ鉄の音がしてきます。
ステージの高さ(天井)が低くなれば位相的な不快感が増します。
大屋根を取り払うと華やかになり、しかし微妙にピントがボケます。
最前列で聴くと力強いがピアノ本来の音とは遠のきます。
正面から左右にずれるにつれ直接音が減少します。
とかとか。
とかく、どこで聴いても同じような音だとか、
いざ作ろうと思うっても思うようには音質が変わってくれないとかの、
ピアノ様様に打ち勝つことできるようになります。
実は、この今回の条件でのベストは、
ホールではなく、サロンコンサートとか、臨時の特設会場とかのときのほうが当てはまります。
そもそもピアノの発祥の場がステージではないことからもうなずけることでしょう。
イベントなどで立ち見で聴く演奏がピアノの正しい鑑賞ポイントだったりします。
大屋根の開き具合の例:響板がすべて見えるような角度がベスト。