音楽観照
「ただいま〜」
「お帰り〜 待ってたよ」
「いや〜 今日は楽しかったよ〜」
「飯」
「サントリーホールなんだけど、無料な上に、全席自由だったんだよ」
「水くれ」
「で、一階席で聴いたんだけど、 やっぱ一階席より二階席だね!」
「目ヤニとって。 てかお前サントリーホールの一階中央席で聴いたこと無いじゃん」
「そうなんだけど、確信持って言えることがあるんだよ。それはね、クラシックの場合、値段的な特等席と音楽的な特等席とが一致しない場合が多いんだよ」
「お、音の話ですか? ワタシの耳は肥えているわよ。発声練習も毎日かかさず続けてるし・・・」
「だから報告してるんだよ。君ならわかってくれるんじゃないかと思ってね」
「私なら、膝さえ貸してくれれば子守唄代わりにいつまでも聴いててあげるわよ。ちょうどマカロンベッドが狭くて不快になってきたところなの」
「じゃあ続けるね・・・」
「ところでタイトル間違ってない? 音楽鑑賞じゃないの?」
「そう、鑑賞ではなく、観照でいいんだよ。私見を入れる前に、正しく観照することの大切さから説くつもり」
「何だか、めんどくなってきた・・・」
「だからシリーズなんだよ。まあ聴いてくれ」
ということで音楽を、鑑賞する前に、観照の仕方について、一石を投じたいと思います。
一般に、ライブコンサートは一期一会なのでどんな演奏が聞けるか心待ちにしてコンサート会場に足を運びます。
実際にそこで行われたコンサートの出来は気になるところだと思います。
そして、自分なりに、あるいは友人や、レビューや事前情報を織り交ぜ自分なりに評価します。
でもそれは本当に正しく評価できているのでしょうか?
その判断基準は正しいでしょうか?
もちろん自分が満点だと思ったらそれは間違いなく満点です。
でも、不満足だった場合、それは演奏者の不出来に直結しているのでしょうか?
あるいは席が良くなかったからでしょうか?
演奏者の出来不出来自体は「それがライブ」の醍醐味なので良しとして、
演奏者の発した音がホールの特性や、視聴した席や、先入観、誤った情報、
はたまた後日の著名な方々によるコンサートレビューによって歪められるとしたらそれはもったいないことです。
それに、もし席を自由に選べるとしたら、どこが良席か分かりますか?
少しでも正しい知識を持っているに越したことはありません。
同じ金額を払うならより良いホール、良い席で聞くに越したことはありません。
音楽観照ではそのお手伝いをさせていただきます。