Anne-Sophie Mutter
公演タイトル | アンネ=ゾフィー・ムター ヴァイオリン・リサイタル |
---|---|
公演日時 | 2013年6月4日(火)19:00〜 |
会場 | サントリーホール |
出演 |
|
演目 |
|
“ヴァイオリンの女王”と呼ばれているアンネ=ゾフィー・ムター。
最近、アメリカ系のヴァイオリニストの演奏会が続いていましたが、
ヨーロッパ系(ドイツ)のヴァイオリニストということで、
どんな演奏をするのか、楽しみでした。
真っ赤なドレスで登場したムター。
美しい笑顔と凛とした立ち姿は、ほんとうに艶やかです。
ビスチェドレスなので、肩から腕の動きがよく見えました。
1曲目のMozart、2曲目のSchbertは、私にはあまり響かなかったのですが、
3曲目のLutoslawski、4曲目のSaint-Saensは、衝撃的な素晴らしさでした!
現代曲はあまり好きではないのですが、
様々な音色、不協和音の妙、会話のようなピアノとの掛け合いなど、
ぐいぐい引き込まれてしまいました。
NAXOSで別のヴァイオリニストの演奏を聞いたときは、
全然面白くなく、最後まで聞けないほどだったのに、
弾く人が弾くと、こんなにも違うのですね。
Saint-Saensのソナタは、曲そのものがもつ美しさ、激しさが
存分に表現されていたように思います。
ムターは、肩当てを使っていませんでした。
私のヴァイオリンの先生が言うには、そのほうが、
箱の響きを阻害しないので、よいのだそうです。
鎖骨に振動が伝わり、楽器と体が一体になって響くようです。
とはいえ、実際に肩当てなしで弾いているヴァイオリニストは
あまり見かけないので、意外でした。
それから、ピアノが最高!
ピアニストとは何十年も一緒に演奏しているだけあって、息がピッタリ。
お互いを十二分に知っていて、信頼しきっている感じがよかったです。
次のコンサートは、チョン・キョンファ(2回目)です。
Mozartは、ムターと同じK379を弾く予定なので、どう違って弾くのか、今からわくわくしています。
☆
コンサートとはどうあるべきかということを、考えさせられた一夜でした。
長年コンビを組んでいるパートナー(ランバート・オルキス)と息のあった演奏。
譜めくりという黒子のいない、ステージと呼ぶにふさわしい空間。
調弦もしないし、合図なしでいきなりスタートさせるスピード感
見た目とおりの美しい音色。
肩当てを使わないバイオリンも活き活きと鳴っているようでした。
見事に歌い上げる曲の解釈と表現力
現代曲というあまり入り込めない曲まで二人なりの解釈を見事に表現していました。
三回にも及ぶアンコール、ステージ裏の観客にも礼する気配入り。
巨匠クラスのまさかのサイン会。
彼女だけしか出せない、独特の一貫して紡ぎ出される美しい音色は、彼女そのもののなのでしょう。
一度共演したら手放したくなくなるのではないでしょうか。
細かいビブラートとタメは日本人好みでしょうか?
プロや批評家にはマイナス要因でしょうか?
技術論者や批評家たちとは異なる世界に住む、まさしくDIVAでした。
フランス映画のDIVAを思い出しました。
今回はステージ裏の至近距離から観ることができました。
驚きなのはその背中、贅肉がないというより演奏するために鍛え上げられた筋肉を見てしまいました。
彼女の特徴である、細かいビブラートはもとより、ビブラートのかかっていない単音のロングトーンまで右手の二の腕は細かくピクピクしていました。
普通のアスリートとは異なるそれは、一見の価値ありです。
今更ながら、平素の努力に敬服しました。
☆
[youtube=http://www.youtube.com/watch?v=zhFcBGQLehw&list=PL8C706CF069CB1864&w=520]