庄司紗矢香 無伴奏ヴァイオリン・リサイタル
公演タイトル | Sayaka Shoji Solo Violin Recital 庄司紗矢香 無伴奏ヴァイオリン・リサイタル |
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公演日時 | 2016年05月29日(日) 15:00開演 (14:30開場) |
会場 | 神奈川県立音楽堂 |
出演 | 庄司紗矢香(ヴァイオリン) |
演目 |
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(8月19日までにクラシック倶楽部で庄司紗矢香の放送予定はありませんよ。(6/24確認))
庄司紗矢香さんのヴァイオリンは、一音一音が考え尽くされていて、研ぎ澄まされています。
特に無伴奏では、その特長が際立ちました。p(ピアノ)がとても繊細で、心に響きました。
1曲目を編曲したジャン=フレデリック・ヌーブルジェは、2009年にラ・フォル・ジュルネで見かけてCDを購入、サインをもらったこともあり、ピアニストの彼がどんな編曲をするのか期待していました。技術的に難しい曲でしたが、聞き応えがありました。
バッハの無伴奏パルティータ第2番は、踊りのリズム感、GigueからChaconneへの移り方、Chaconneの切なく情熱的な旋律の奏で方、どれをとっても素晴らしいの一言でした。
コンサート終了後、サイン会が開かれました。満面の笑みが可愛らしかったです。
◆以下旦那
今回初めて伺った神奈川県立音楽堂をとても気に入りました。
歴史的にも立派なものでした。
神奈川県立音楽堂は、1954年、公立施設としては日本で初めての本格的な音楽専用ホールとして開館しました。
ロンドンのロイヤルフェスティバルホールをモデルに、最高の音響効果をあげるように設計されたホールは、開館当時『東洋一の響き』と絶賛され、その響きは今も国内はもちろん海外からも高い評価を受けています。ホールの壁面はすべて「木」で作られており、そのアコースティックな響きは開館60年を経た今でも人々に感動をあたえつづけています。
また、地域に根ざした優れた公共施設として1998年に建設省より「公共建築百選」に選ばれ、加えて1999年には20世紀の重要な文化遺産である建築としてDOCOMOMO(ドコモモ)(近代運動にかかわる建物・環境形成の記録調査および保存のために設立された国際的組織)より「日本におけるモダン・ムーブメントの建築20選」に選ばれました。
なんとオリンピックに向けて改修予定(2016年から計画2018年着工)があるということで、すんでのところでこの立派な音響を聞き逃してしまうところでした(改修後も音響が維持できるとは限らないので)。
何が立派かというと、音響が演奏の邪魔をしていないということです。
例えば凸版ホールのように、うたい文句があればあるほど逆に全てにはいきわたっていない感が漂うようなこともなく、ごく自然に音楽を支えてくれるような感じです。残響が少なめのは良いことです。
肝心の演奏ですが、
開演前は観客層が子供から老人までと芸術というよりは大衆感が少し漂っていたのですが心配は無用でした。
彼女の演奏はそんな観客を軽々と静まり返らせてくれました。
音量のレンジの広さも問題なくストラディバリは響き渡り、アルバム『J.S. バッハ & レーガー: 無伴奏ヴァイオリン作品集』と同等の音質で鑑賞することができました。
今回は事前に予習していったので(初初演はともかく)すべての曲を楽しむことができました。
バッハのBWV1004は予想していた芸術的、狂気的な演奏ではなく、とても温かみのある演奏で、本当の庄司紗矢香を見たような気がしました。
チケット購入時には曲目が決まっていなかった細川俊夫氏の委嘱作品は『ヴァイオリン独奏のための「エクスタシス」(脱自)(2016) 』という曲に数日前に決まったようです。
■細川俊夫≪委嘱作品≫の曲名が決定!
細川俊夫:ヴァイオリン独奏のための「エクスタシス」(脱自)(2016) 《委嘱作品・日本初演》
Toshio Hosokawa : “Extasis” for violin solo(2016) 《Commissioned Work, Japan Premiere》
この演奏は、尺八的だったりとか日本の古楽器とかを意識していたのか、聴きなれた普通のバイオリンの音ではない音が随所にちりばめられていて…譜面に書かれていた音符以外の指示や音楽記号がどのように描かれていて、どのように解釈して、そしてそれは細川氏の思い通りだったのかがとても気になりました。(演奏後に登壇しての挨拶がありました。リハーサルの時からおられたようです)
BWV542のオルガン曲については事前にピアニストの編曲は、バイオリニストの編曲に比べ難しいと聞いていましたが、その通りのようでした。
残念ながらオルガンには勝てなさそうな編曲でした・・・
バルトークの楽曲は、次元が高すぎて、評価ができません。
今回感心したのは、開演時間から登場までの間です。
彼女のような、いきなり全開で繊細な演奏には、観客の耳や空気を場になじませる必要があると思っています。
そのような意味で、第一部10分、第二部5分という時間は大変理にかなったスペースだったと思います。
たぶん、この時間は彼女自身の演奏を正しく観客に届けるのに必要な時間だとの自覚があってのことだと思います。
その観点からでは、開演ギリギリだったり遅れてきた方々の第一部の感想は、多分に的外れなうえに彼女に失礼な場合があることでしょう。
ノリが悪いとか、なじんでないとか、緊張しているのか?とか・・・・・。
少なくとも今回の彼女はのっけから全開バリバリでした。
それと、アルバムジャケットもそうですが毎回毎回初めてみるような表情に見えてしまいます。
毎回毎回別人のようです。
それは楽曲にのめり込んでいるのか、誰かにのり移られているのか、それとも実は別人なのか?
プロの演奏家というよりはプロの芸術家であり続ける彼女の演奏は時にギリギリすぎてハラハラドキドキですが本日は力強さも見せてくれました。ありがとうございました。
こういった(プログラムに精力を使い果たしたとき)、アンコールなど出来やしない時には(運営側の配慮で)さっさと会場の照明を明るくしてくれるとお互い気まずさを感じなくて良いと思います。
観客側も照明が明るくなっても気が済むまで拍手を止めずに演奏をたたえ続けるぐらいのことをしてあげれば、さらに良い関係になれることでしょうに。
加えて演奏者が演奏終了の合図を示すまでは「ブラボー禁止」になってほしい。(この際プラカードとか出してでもです)
シャコンヌは音が止んでから1分ぐらいの無音を含めたところまでが演奏だと思うからです。
(追記)続きを書きました 生演奏 vs.アルバム録音
以下は公演レビュー・参考情報・チラシ等の情報
庄司沙綾香 J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ 第2番 ニ短調 BWV1004
待望の無伴奏リサイタル決定!庄司紗矢香 無伴奏ヴァイオリン・リサイタル
公演日時: 2016年05月29日(日) 15:00開演 (14:30開場)
意欲的なプログラムによる庄司紗矢香の無伴奏リサイタル
舞台の上にポツンとひとりヴァイオリニストが立っている。しかし、いったんヴァイオリンを演奏し始めると、そこには音楽の光が充満し始める。たったひとりで弾くことは、決して孤独な作業ではない。そこに現れるのは、ヴァイオリニストと作曲家の真剣な会話による力強い世界。そして、ヴァイオリニストと耳を傾ける聴衆との無言で温かい共感の世界だ。
ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタの全曲録音を終え、2015年には記念の全国ツアーを行った庄司紗矢香が、2016年は彼女にとって初めてとなる無伴奏作品によるリサイタルを行う。これまでもリサイタルの中で無伴奏曲を演奏することがあったが、その時の庄司の集中力の高さ、演奏の素晴らしさは多くの聴き手を魅了して来た。今回はバッハの無伴奏パルティータ第2番などに加え、細川俊夫に委嘱した新作も披露する。庄司の弾くストラディヴァリウスの響きを、木がふんだんに使われた神奈川県立音楽堂で聴く。待望の無伴奏リサイタルである。
片桐卓也(音楽ライター)
出演 庄司紗矢香(ヴァイオリン) プログラム J.S.バッハ:幻想曲とフーガ ト短調 BWV542 (ジャン=フレデリック・ヌーブルジェ編)
B.バルトーク:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ Sz.117
細川俊夫:新作(2016)《委嘱作品・世界初演》
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ 第2番 ニ短調 BWV1004プロフィール 庄司紗矢香 Sayaka Shoji, Violin1999年パガニーニ国際ヴァイオリン・コンクールで史上最年少および日本人として初めて優勝。1998年からヨーロッパを拠点に活動し、ヴラディーミル・アシュケナージ、シャルル・デュトワ、マリス・ヤンソンス、ズービン・メータ、セミョーン・ビシュコフ、パーヴォ・ヤルヴィ、チョン・ミュンフン、アントニオ・パッパーノ、ヤニック・ネゼ=セガンといった世界を代表する指揮者たちと共演を重ねている。近年は、BBCフィルハーモニック、ウィーン交響楽団、ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン、デンマーク放送交響楽団、NHK交響楽団などのコンサートに登場している。2013年12月には、庄司の長年にわたる指導者・理解者であるユーリ・テミルカーノフより、サンクトペテルブルクでおこなわれた彼の70歳および75歳バースデー・ガラ・コンサートにロシア系以外の演奏家で唯一招待された。ソリストとして多忙な活動をしている庄司は室内楽活動にも力を入れており、これまでにジョシュア・ベル、ワディム・レーピン、イタマール・ゴラン、スティーヴン・イッサーリス、ラン・ラン、マルティン・フレストらと共演。定期的にピアニストのジャンルカ・カシオーリとデュオを組み、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全集の4枚目のCD、最後の一枚を2015年春に発売。また、彼女はメナヘム・プレスラーとも共演し、その記録はライヴ収録され2015年秋に発売された。使用楽器は、上野製薬株式会社により貸与された1729年製ストラディヴァリウス“レカミエ(Recamier)”。 チケット発売 01月10日 : かながわメンバーズ(KAme)先行発売(インターネットのみ)
かながわメンバーズ(KAme)とは?
01月16日 : 一般発売料金 入場料 全席指定 一般:6,000円 シルバー(65歳以上):5,500円 学生(24歳以下):3,500円☆「チケットかながわ 電話0570-015-415 (インターネットでも受付)」のほか、ぴあ、イープラスでも発売します。
世界の庄司紗矢香、MIRARE登場!
庄司紗矢香の純粋なアプローチによるバッハ&レーガー
日本語解説付き16歳のときパガニーニ国際ヴァイオリン・コンクールで日本人初、史上最年少優勝を果たし、世界の注目を集めてきた若きヴァイオリニスト庄司紗矢香。これまでに数々の録音とコンサートでその並はずれた才能を見せつけてきた天才少女が20代後半にさしかかり、より一層成熟したテクニックと表現力を携えてMIRAREレーベルに初登場します。MIRAREのプロデューサーであるルネ・マルタンが手がける音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ」への参加をきっかけに、このアルバムが誕生しました。
収録曲はバッハとレーガーの無伴奏作品。バッハの無伴奏ヴァイオリンのための6曲は数多くの録音が存在しますが、レーガーの作品と組み合わせ、ニ短調の『シャコンヌ』を最後の山場に持ってくるという、極めて考え抜かれた構成となっています。レーガーの無伴奏作品はバッハを範として作曲されていますが、その中にレーガー独自の幻想世界を作り込んでいく高い技巧を必要とされている作品です。
庄司紗矢香は抜群のテクニックと安定感、明るい音色で力強くストレートな演奏を披露しています。レーガーの『シャコンヌ』は、作品の本質を真摯に追い求めていき、バッハの無伴奏パルティータ第2番では、高い集中力と深い音楽性を発揮した熱演となっております。
使用楽器は、上野製薬株式会社の上野隆三氏より貸与された1729年製のストラディヴァリウス(ミッシャ・エルマンが所有・演奏)。(キングインターナショナル)【収録情報】
CD1:
・レーガー:前奏曲とフーガ ト短調Op.117-2
・J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番ト短調BWV1001
・レーガー:前奏曲とフーガ ロ短調Op.117-1
・J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第1番ロ短調BWV1002
CD2:
・レーガー:シャコンヌ ト短調Op.117-4
・J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番ニ短調BWV1004庄司紗矢香(ヴァイオリン)
録音時期:2010年8月
録音場所:パリ、ランファン・ジェジュ教会
録音方式:デジタル(セッション)
Partita No. 2 in D Minor, BWV 1004 : III. Sarabande
庄司紗矢香
クラシック
¥200