チョン・キョンファ
ヴァイオリン・リサイタル
Kyung-Wha Chung (vn), Kevin Kenner (pf)
日時:2013年6月11日(火)19:00〜
場所:サントリーホール
6月3日に引き続いて、2回目のチョン・キョンファのコンサートです。
前回は大満足の内容だったのですが、プログラムもホールも変わって、
今日はどんな演奏が聞けるのか、楽しみに思いながら会場に行きました。
1曲目のモーツァルトは、先日、アンネ=ゾフィー・ムターが弾いたのと同じK379。
ヴァイオリンの出だしの一音で、チョン・キョンファの世界に引き込まれました。
美しい叙情的なメロディですが、骨太というか、芯がしっかりとおっているというか、
そんな音色なので、甘すぎず、気品が感じられました。
今日の私の最大の関心は、休憩を挟んで後半の1曲目、バッハの「シャコンヌ」です。
大好きな曲で、先月、ヒラリー・ハーンのコンサートで泣きそうなほど感動したので、
今回もかなり期待していました。
ところが、音程が多々外れて聞こえてならず、
弓の重さが弦にのっていないようなかすれた音も多く、私にとっては、残念でした。
音程については、席の位置のせいかもしれません(2階のステージ裏左手のほうでした)が、
和音が調和していないように聞こえて、ちょっとがっかり。
でも、間の取り方、テンポのメリハリなどは
チョン・キョンファならではの独特のものが感じられて、良かったです。
最後のフランクのソナタはもちろん、アンコールの曲も素晴らしく、
2曲弾き終わった後、会場の照明が明るくなってもなお拍手が鳴り止まず、
もう一度、照明を暗くして3曲目のアンコールを弾いてくれるという大サービスがありました。
最後は、観客全員総立ち状態で、興奮に包まれて終了しました。
ちなみに、演奏会後のサイン会は開かれませんでした。
特定のCD購入者への色紙プレゼント[先着順]は、今回もあったようです。
☆演奏中の咳払いに睨みつけるシーンがあった。
「集中しているので観客は目に入らない」を尊ぶ節もあるが、
観客とライブを楽しんでいたら、ビクリと睨みつけてしまうのが正常だろう。
彼女は美空ひばりみたいな存在だ。
一緒にライブを共有できただけでこんな幸せはない。
更に今回は彼女自身もそれを楽しんでいる。
東京文化会館では緊張も見られ、ミストーンもあった、持ち前の気迫どころではなかったが、それを共有できた。
今回は緊張もほぐれ、本来の状態で弾けたであろう。二回観に来て幸運だ。
誰かと、まして本人と技術を比較してなんになるだろうと感じました。
今日のシャコンヌは響きではなく、想いを聴きました。
「シャコンヌだけ音程が低め」だと家内が言う。
きっとナチュラルな彼女の、好きな音程だと思う。
日本人は低めが好き。と私は勝手に思う。
そのせいか特別なホールトーンが響いていて、ライブでしか聴けないシャコンヌを楽しめました。
対してケビンさん、
文化会館では席の関係でバランスについては気にしませんでしたが、今回はちょっと。
巨匠との共演で力が入っていたのか、私には喧嘩してるとしか思えませんでした。
ピアノが邪魔してました。
ただし、ズーカーマンとムターを見た後だからそう思うのでしょう。
実力があることがわかりやすい演奏でしたが、
思想の違い、環境の違いでしょうか、彼女とは相容れないものを感じました。
昔はともかく今の彼女には、包容力のある人生経験の豊富なピアニストと組まないと持ち味が台無しになると思いました。
おまけに、ピアノからビビリ音が!
バイオリンの音でもビビリ音が発生していたので譜面台とか譜面とかのせいかもしれませんが、今回はそれもがっかりの要因でした。
それでも公演そのものには大満足です。
後にこの公演を映像とかで見てもライブと同じ興奮は味えないことでしょう。
リアルな 衝撃の東京ライヴ第2夜 でした。
プログラム:
Mozart: ヴァイオリン・ソナタ ト長調 K379
Prokofiev: ヴァイオリン・ソナタ第1番 ヘ短調 op80
J.S.Bach: シャコンヌ(無伴奏パルティータ第2番より)
Franck: ヴァイオリン・ソナタ イ長調
アンコール:
シューベルト:ソナチナ第1番 op.137 第2楽章アンダンテ
シューベルト:ソナチナ第1番 op.137 第3楽章アレグロヴィヴァーチェ
ドビュッシー:亜麻色の髪の乙女
若かりし頃の演奏をどうぞ
[youtube=http://www.youtube.com/watch?v=Va7ez2m_HCA&w=420]